有機化学(2)
ベンゼン環の共鳴
フェノールは石炭酸と呼ばれ酸ですが、エタノールはアルコール、塩基ですよね。
また、オルト、メタ、パラの配向性もどのようにして決定されているのでしょうか。
今回はベンゼン環の共鳴を考慮しながら、反応機構を見ていきましょう!
求電子置換反応
C6H6 + Cl2 + FeCl3 → C6H5Cl + FeCl4 + H+
と書くことができる。
この反応機構の右辺は、↔で表される共鳴反応である。(➝←の平衡とは別物)
Clが付加した位置によって、どこの電子が不足しているのかが異なってくる。
具体的にはこれは3パターンぐらいある。
ニトロ化
ニトロ化の場合には、硝酸HNO3の酸素についた電子がH+と反応して、
OとNで電子が不足した生成物ができる。ここからニトロニウムイオンが分離して、これがベンゼン環と反応することでニトロ化が起こる。
アルキル基とアシル基
アルキル化
AlCl3とCH2CH3Clを混ぜると、AlCl4-とCH2CH3+が平衡状態になる。
ここにベンゼン環を投入すると、共鳴を伴いながらCH2CH3が付加する。
アシル化
AlCl3+COCH3Clで、AlCl4-とCOCH3+になります。COCH3がベンゼン環を攻撃し、共鳴状態になっていきます。
置換基の効果
ニトロ化の速さは、
フェノール>トルエン>ベンゼン>クロロベンゼン>ニトロベンゼン
の順で速くなっています。これは、置換基から電子がベンゼン環の方に流れ込んでいるものは電子の密度が高くなりニトロ化が起きやすく、ClやNO2では逆のことが起こるということを示しています。
O,P-配向性とM-配向性
化合物がどの配向性になるか、ということにはカルボカチオンの安定化が大きく関係しています。というのも、上記の共鳴状態において、どこの電子が不足しているのか、という点が問題になっているわけですが、近くにCH3などがあるとより安定な構造になるため、オルト、パラやメタの間でできやすさに差が生まれるのです。