ファイナンス(4)(前半)
債券
債権とは、政府や企業が資金調達のために、将来の支払い条件を約束して発行する証券のことです。
クーポン(一定期間ごとの債権の利子)が存在し、満期には元本(額面)をもらうこともできます。
※クーポンはマクドナルドなどで使える安くなる券のことではありませんよ!
各回のクーポン支払額(CPN)は、
CPN=クーポンレート(年率)×額面/年間支払回数
によって求められます。
ゼロクーポン債
クーポン支払いのない債券を、ゼロクーポン債と呼びます。
この時、債券投資の内部収益率(IRR)、つまり最終利回り(YTM)は、
満期n年として、
P(債券価格)=FV(額面)/(1+YTM)→YTM=(FV/P)^1/n-1
と求められます。
r=YTMとなるとき、満期n年の無リスク利子率と呼び、一物一家の法則より「無リスク利子率=ゼロクーポン債の最終利回り」が成立しています。
クーポン債
ゼロクーポン債とは対照に、クーポンを支払う債券のことです。
クーポン債の最終利回りは、利子率をyとして、
P(債券価格)=CPN(クーポン支払い額)/y×(1-1/(1+y)^N)+FV(額面)/(1+y)^N
という方程式を解くことで求められます。
債権取引の呼び方
- プレミアム:債券価格は額面以上/クーポンレート>最終利回り
- パー:債券価格は額面に等しい/クーポンレート=最終利回り
- ディスカウント:債券価格は額面以下/クーポンレート<最終利回り
また、最終利回りが一定ならば、残存期間が減少するにつれて債券価格は額面に収束します。
金利変化と債券価格
金利レベル(利回り)が上昇すると、投資家はより高い最終利回りを要求し、債券価格は下落します。利回りが高い場合は、現在価値に直したときに分母が大きくなりますよね。
また、支払期間の短い債券は金利変化の影響が小さいです。 極端に言ってしまえば、翌年支払いなら債券価格=額面ですよね。
デュレーション:支払期間の(支払額による加重)平均 •
債券価格の金利変化に対する感度を表します。
例えば、クーポンレート10%の10年債 ならば 6.76年となります。
ゼロクーポン債によりクーポン債の利回りを評価した場合、利回りが年ごとに変わるので上で紹介したものとはまた違ったクーポン債価格を求める式が立ちます。
𝑃 =𝐶𝑃𝑁/(1 + 𝑌𝑇𝑀1)+𝐶𝑃𝑁/(1 + 𝑌𝑇𝑀2)+ ⋯+(𝐶𝑃𝑁+ 𝐹𝑉)/(1 + 𝑌𝑇𝑀𝑁)
この時、信用リスクというものを考えてみましょう。これは、社債などで債務不履行(約束金額が支払われない)が生じるリスクです。債務不履行の可能性が中途半端な数字の場合は、平均をとるとよいでしょう。
有名どころではスタンダード&プアーズ社とムーディーズ社が、債権の格付けというものを行っています。
AAA > AA > A > BBB ‥投資適格等級の債券
BB > B > CCC > CC > C > D ‥投機的等級の債券
イールドカーブ(金利と期間との相関性を示したグラフ)では、これらの信用スプレッド(企業の信用力の差による利回りの差)が示されています。