社会心理学(4)
対人関係
マーシュタインのSVR理論
形成された好意が継続し、長期的な関係へと移行するためには三つの段階が必要だ。
S:刺激の段階・・・相手への関心を引き付ける要素があるか。
V:価値観の段階・・・価値観の点で類似性が存在するかどうかが重要。
R:役割の段階・・・お互いが異なる役割を分担し、相互に補い合えるかが重要。
刺激の段階で重要な要因は、「環境」と「感情」だ。
以下ではそれぞれについて詳しく見ていく。
刺激の段階における環境
その1.近接性
人は物理的、環境的に近い距離にあるだけでも好意を抱くようになるということ。
フェスティンガー・シャクター・バックの実験(アパートの部屋割りと友人関係調べ)によると、お互いにまだ接触していない関係のうちはちょっとした偶然の接触
(受動的接触)が重要であるらしい。また、「部屋が隣」「出入口が一緒」といった、機能的距離の近接性も重要である。
また、単純に接触を繰り返すだけでも好意は高まるというザイアンスの法則というものもある。熟知度が高まることで相手に対する警戒心が低下し、情報処理が容易になるのだ。これを利用しているのが広告やCMというわけ。
その2.快適性
環境に対する評価は、本来であれば関係ないはずの相手への評価にも影響するというもの。
グリフィットの実験によると、共通点があるなど類似性よりも、部屋の温度や湿度といった条件が相手への好感度に大きく影響していることが分かった。
刺激の段階における感情
その1.不安定性
大きな感情の変動は、それだけで好意をもたらす要素になるというものである。
ウォルスターの実験によると、自信を失う診断結果を告げられた女子大生は、その直前に口説いてきたイケメン男性への好感度が高まるというものだ。
また、シャクターの実験によると、人は突然の自信の低下、恐怖の喚起によって他社に好意を抱いたり接触を求めたりするようになるとのこと。ただし、不安や不快感は必ずしも上記のような効果を持つわけではないらしい。
ダットンとアロンの実験
吊り橋効果を聞いたことがある人は多いだろう。
ダットンとアロンは、揺れる不安定な吊り橋と頑丈な吊り橋二つを渡ってきたグループに対して、あいまいな絵を描写してもらうという実験を行った。この時、女性が話しかけ、結果が気になるならこの番号に電話して、と伝えた。
感情の錯誤帰属により、吊り橋を渡ってきた人たちは、喚起された恐怖や生理的覚醒(心拍増加)を出会った女性にときめいたからだと勘違いし、電話したり性的イメージを描写することが多かったという。
その2.嗜好性
人は見た目が100%なのか?という問題
ウォルターたちの実験によると、新入生を対象に行われたパーティにおいて、自分の見た目の良しあしにかかわらず外見的魅力の程度が高いものほど好意を持たれていた。そしてこの傾向は男女問わずのものだったという。
「※ただしイケメンに限る」は本当なのかもしれませんね!