国際金融論(5)
第五回
購買力平価
生産物の裁定取引
取引費用(輸送費用、税関等)がない場合、A国とB国で一時的に発生した財の価格差を利用し、低い価格で購入するのと同時に高い価格で売却することで利益を上げることができる。
一物一価の法則
現実にはもし裁定取引があればみんなやるので、市場の国内外問わず同じ財は同一通貨単位に換算すると同じ価格で取引されている。
絶対購買力平価
一物一価の法則がすべての財について成立するならば、
Pt=St・P*tが成り立つ。(Pt:自国通貨の財価格 St:為替レート P*t:外国通貨の財価格)
絶対購買力平価は、実質為替レートが1に等しいことと同じ(一物一価)
自然対数を用いて書き直すと、
st+p*t-pt=0
である。
相対購買力平価
取引費用(輸送費用や関税)が存在するとする。
この時、二国間の実質為替レートを1じゃあなくてKとするとき、これを相対購買力平価という。
自然対数に置き換えて書き表すと、
st+p*t-pt=K
各変数の自然対数の階差を使って相対購買力平価条件を表すと、
Δst = Δpt - Δp*t
となる。ここでは、長期を想定した条件である。
st:短期・長期を問わずに伸縮的
pt,p*t:長期で伸縮的・短期で硬直的
フィッシャー効果
フィッシャー効果が成り立つ条件は以下の三つ。
- 各国のインフレ率が違う
- 実質利子率が等しい
- 長期
相対購買力平価(長期):Δse t,t+k = Δpe t,t+k - Δp*e t,t+k
カバーなし利子率平価:Rt,t+k = R*t,t+k +(Se t,t+k - St)/St
上記両方が成立するとき、名目利子率-インフレ率=実質利子率が等しくなるという条件が導ける。
𝑅𝑡,𝑡+𝑘 − 𝑅*𝑡,𝑡+𝑘 = ∆e 𝑝𝑡,𝑡+𝑘 − ∆𝑝*e 𝑡,𝑡+𝑘
𝑅𝑡,𝑡+𝑘 − ∆𝑝e 𝑡,𝑡+𝑘 = 𝑅*𝑡,𝑡+𝑘 − ∆𝑝*e 𝑡,𝑡+𝑘
伸縮価格のマネタリーモデルと硬直価格のマネタリーモデルについて説明できるようにすること。
特に、短期的な平価と長期的な平価の乖離がここでは問題になっている。