国際金融論(2)
第二回
物価水準(P)・価格指数
定義:ある経済の中で取引されている財・ サービスの平均的な価格
GDPデフレーター:物価水準を測る統計の一つの方法。
- 利点:カバーする範囲が非常に広い
- 欠点:結果が出るまでに時間がかかる
関連するものとして、パーシェ指数(当該年の生産量に依拠して導出した価格指数)がある。
当該年のパーシェ指数=(Σ当該年の生産量 × 当該年の価格) / (Σ当該年の生産量 × 基準年の価格)
その他の価格指数として、消費者物価指数CPI(日本の平均的な家計が 購入する財・サービスの平均的な価格をスーパーの店頭などでの価 格から算出するもの)や企業物価指数(企業間で取引される財の平均価 格)、東大日時物価指数(カバーされる範囲・速報性)がある。
関連するものとして、ラスパイレス指数(基準年の消費数量を用いる物価指数)がある。こちらの方が速報性は高い。
当該年のパーシェ指数=(Σ基準年の生産量 × 当該年の価格) / (Σ基準年の生産量 × 基準年の価格)
Q.輸入品の物価が上昇すると、国内物価にどう影響する?
A.名目国内総支出は、消費財価格×消費量+設備投資財価格×設備投資量+輸出価格×輸出額-輸入価格×輸入量である。輸入価格が上がると名目国内総支出が変わらないとき国内物価は上昇する。
インフレ率
物価水準の上昇率のこと。第t年の物価水準をPt、t+1年をPt+1、t~t+1年のインフレ率をπt+1とすると、
πt+1={(Pt+1 - Pt) / Pt }* 100
で求められる。インフレ時にプラス、デフレ時にマイナスとなる。
貨幣とマクロ経済学
現金は、発行元である中央銀行の保証を伴うの価値を持っている。
役割として、・交換手段・共通の計算単位・価値保存手段 などがある。
貨幣は、取引に容易に用いることができる資産のことである。
マネーストック統計
貨幣ストック(ある時点で一国内に存在している貨幣の合計金額)を測る統計。
主にM1,M2,M3の三種類がある。
- M1=現金+普通預金 (ゆうちょ銀行などを含む)
- M2=現金+普通預金+準通貨+譲渡性預金 (日本銀行、ゆうちょ銀行を除く国内銀行、または信用金庫など)
- M3=現金+普通預金+準通貨+譲渡性預金 (ゆうちょなどのみ)
- 広義流動性=M3+金銭の信託+投資信託+金融債+銀 行発行普通社債+金融機関発行CP+国債+外債
法定準備預金:民間銀行から日本銀行に当座預金または準備預り金として預け入れなければいけない最低金額のこと。αといった割合で示される。
公開市場操作:国債や手形などの資産の売却・買入すること。一定割合を預金し、一定割合を貸し出す、という過程を考えていく。
公定歩合:民間銀行に対する貸出金利(コールレート)や預金準備率を操作する手法。
実質貨幣ストック:財の単位で貨幣のストックを測る指標。実質貨幣ストック=(名目)貨幣ストック / 物価水準
貨幣の実質価値 = 1 / 物価水準
- 貨幣:現金で中央銀行によって管理される。
- 債券:借金の証文のこと。貨幣以外の資産。
上記の仮定の下、貨幣の供給と需要を考えてみよう。
貨幣の供給
貨幣供給の決定者:政府
貨幣供給が政府に外生的に決定しているものとする。 𝑀𝑆 = 𝑀
金融政策:政府が貨幣供給を変化させる政策のこと
貨幣の需要
貨幣需要の決定者:民間(家計と企業)
資産総額:前の期までの金融政策や民間の資産蓄積行動によって決定されている。
⇒すでに決められている
この総額を所有する手段:貨幣と債券
⇒貨幣需要の問題の裏:債券の問題
貨幣需要の決定要因
1. 財・サービスの取引量
-総生産(𝑌)と密接な関係がある:生産量が多い
⇒取引量: 多い ⇒貨幣需要は総生産𝑌の増加関数
2. 利子率(𝑖)
-貨幣需要は利子率の減少関数
※ 機会費用:ある行動をとることによって、もしその行動をとらなければ得られるはずだった利益のこと
3. 貨幣需要 vs 物価水準(𝑃):正比例の関係
実質総貨幣需要関数は、
𝑀𝑑 / 𝑃 = 𝐿(𝑌,𝑖)
となる。MS/P = M/Pとなるとき、貨幣市場は均衡状態である。
利子率
名目利子率(𝑖):証券1円分につきもらえる利子のこと。
⇒ 貨幣の単位ではかられた利子率
実質利子率(𝑟) :元手となった1単位の財に加えて何単位余計に財を買えるか 。
⇒ 財の単位ではかられた利子率
証券会社が報告するのは名目利子率。貯蓄を行うかといった決定変数は実質利子率。
名目利子率と実質利子率の関係
1 + 𝑟 = (1 + 𝑖)* (𝑃𝑡 / 𝑃𝑡+1)
インフレ率
π = (𝑃𝑡+1−𝑃𝑡) / 𝑃𝑡 = 𝑃𝑡+1 / 𝑃𝑡 − 1 ⇒ 𝑃𝑡+1 / 𝑃𝑡 = 1 + π
r:名目利子率
i:実質利子率
𝑃𝑡:𝑡期の物価水準
𝑃𝑡+1:𝑡 + 1期の物価水準
フィッシャー方程式
𝑟 = 𝑖 − 𝜋𝑒
𝜋𝑒:予想インフレ率