ファイナンス(8)(後半)
オプションの評価方法
2状態1期間モデル
二項オプション価格モデルとも呼ばれる。時点0と1を考え、株式だと上下を考え、債権だと1の時点で確実に増加している。コールのペイオフを複製し、保有株式数をΔ、債券投資額をBとして、複製ポートフォリオによる連立方程式を解くことにより、コールの価格を求める。
公式にすると以下の通り。
オプションのペイオフの複製
𝑆𝑢Δ + (1 + 𝑟𝑓)𝐵 = 𝐶𝑢
𝑆𝑑Δ + (1 + 𝑟𝑓)𝐵 = 𝐶𝑑
二項モデルの複製ポートフォリオとオプション価格
Δ = (𝐶𝑢 − 𝐶𝑑) / (𝑆𝑢 − 𝑆𝑑)
𝐵 = (𝐶𝑑 − 𝑆𝑑Δ) / (1 + 𝑟𝑓)
𝐶 = 𝑆Δ + B
各状態の生起確率を知る必要はない。また、Δは株価に対するオプション価格の感度になる。
リスク中立評価
二項モデルのオプション価格式を整理する。
リスク中立確率:ρ =(Rf - d) / (u - d)
関係性0<d<Rf<uより、0<ρ<1が成立。
リスク中立確率で期待ペイオフを計算し、無リスク利子率で割り引いて、オプション価格を計算する。
𝐶 =1/𝑅𝑓[𝜌𝐶𝑢 + (1 − 𝜌) 𝐶𝑑]
𝑃 =1/𝑅𝑓[𝜌𝑃𝑢 + (1 − 𝜌) 𝑃𝑑]
多期間モデル
このモデルでは、樹形図を描いてCuCu、CuCd、CdCdとなる確率をそれぞれ考える。
C=1 / 𝑅𝑓^2 * [𝜌^2*𝐶𝑢𝑢 + 2𝜌 (1 − 𝜌) 𝐶𝑢𝑑 + (1 − 𝜌)^2*𝐶𝑑𝑑]
ブラック・ショールズの公式(コール)
ブラック・ショールズのオプション価格モデルは、二項モデルにおける時間間隔と株価変動を調整しながら、期間数を無限大に増やすことで導ける。
S:現在の株価
σ:株価収益率(年)のボラティリティ
K:コールの権利行使価格
T:満期(年)
とする。コールオプションのブラック・ショールズ価格式は、
𝐶 = 𝑆 × N (𝑑1) − PV (𝐾) × N(𝑑2)
𝑑1 =log[𝑆 / PV(𝐾)] / 𝜎 √𝑇 + 𝜎 √𝑇 / 2
𝑑2 = 𝑑1 − 𝜎 √𝑇
ヨーロッパ&アメリカどちらの型にも適用できる。
ブラック・ショールズの公式(プット)
プットコールパリティ(C=P+S-PV(K))として、コールの価格Cに上記の公式を代入し、1-N(d)=N(-d)を利用して以下を導く。
プットオプションのブラック・ショールズ価格式は、
P =PV (𝐾) × N(-𝑑2) - 𝑆 × N (-𝑑1)
𝑑1 =log[𝑆 / PV(𝐾)] / 𝜎 √𝑇 + 𝜎 √𝑇 / 2
𝑑2 = 𝑑1 − 𝜎 √𝑇
これはヨーロッパ型のみに適用可能。
インプライドボラティリティ
ブラック・ショールズの公式と市場価格が一致するようなボラティリティのこと。
市場価格と整合的な株価収益率のボラティリティをブラック・ショールズ公式から逆算した値になる。
また、二項モデルとブラック・ショールズ公式を用いると、複製ポートフォリオによってコールやプットオプションを再現できる。
保有株式数:Δ = N(𝑑1) 債券投資額:𝐵 = −PV 𝐾 × N(𝑑2)
保有株式数:Δ = −N(−𝑑1) 債券投資額:𝐵 = PV 𝐾 × N(−𝑑2)