ファイナンス(8)(前半)
金融オプション
オプションとは
将来の時点において、資産を事前に契約した価格で購入または売却する権利(※義務ではない)
ロング:オプションの所有者(買い手)
資産を購入または売却する権利を保有し、都合のいいときだけ権利を行使、利益を得る。
ショート:オプションの発行者(売り手)
所有者の要求に応じる義務を負い、所有者に権利を行使されると損失を被る。
プレミアム:オプションの価格(取得費用)
ロングがショートに前払いする。ショートにとっては損失リスクの代償となる。
オプションと収益
ペイオフ:満期日の損益
所有者と発行者で損益が逆転する。満期日の株価をS、権利行使価格をKとするとき、
とあらわされる。
オプションの利益=満期日のペイオフ-取得費用
コールの場合、取得費用が高いほど権利行使価格が低く、株を安くで買える可能性が高まる。
オプションの収益率=(満期日のペイオフ-取得費用)/取得費用
権利行使価格が高いほど収益率は広く分布し、株式よりも極端な収益率になる。
オプションの組み合わせ
ストラドル
同じ権利行使価格のプットとコールの組み合わせ。
投資家の予想:株価が大きく上昇または下落する。
バタフライ
コール(𝐾 = 20)買い + コール(𝐾 = 30) 売り×2 + コール(𝐾 = 40)買い の組合せ。
投資家の予想:株価は大きくは動かない。
プロテクティブ・プット(株式とプットの組み合わせ)によるリスクヘッジ。プットの取得費用が必要だが、株価が下落した場合でも最悪の場合プットの価格で売れる。無リスク債権とコールの組み合わせでも同じペイオフが可能。
プットコールパリティ:「株式+プット」と「無リスク債権+コール」が一物一価の法則より等しいことを考える。
C=P+S-PV(K)
S:株価
P:プットの価格
C:コールの価格
K,PV(K):コールとプットの権利行使価格のことで、PVは満期日の現在価値
満期日以前の権利行使
コールオプションの価格:C= 𝑆 − 𝐾 + 𝑃 + 𝑟𝐾 (1 + 𝑟)
𝑆 − 𝐾 (内在価値):現時点で権利行使した場合の価値
𝑃 + 𝑟𝐾 (1 + 𝑟)(時間価値):権利行使を遅らせることによる価値
権利行使はやめてもあんまりいいことないので、アメリカ型とヨーロッパ型の価格は等しい。ただし、配当がいっぱいもらえる場合などは例外。
プットオプションの価格:𝑃 = 𝐾 − 𝑆 + 𝐶 − 𝑟𝐾 (1 + 𝑟)
権利行使価格と割引率が高い場合に限り、満期日以前に権利行使してメリットがある。