ファイナンス(2)
お金と賞味現在価値
1.賞味現在価値
お金の価値というものは、無リスクの利子率(割引率)が異なるため、
時点によってそれぞれ異なります。
例えば、割引率8%で10000円の(一年後の)将来価値は、
10000×(1+0.08)=10800円になります。
逆に、一年後の10000円の現在価値は、
10000×1/1.08=9259.25です。
賞味現在価値(NPV)とは、上記の方法を用いて異なる辞典の費用と収益を現在価値に直し、NPVが正なら良い意思決定、負なら悪い意思決定、と判断するものです。
2.金融工学の様々な法則
- 裁定機会
もし、金が日本で100万円、中国で120万円でとりひきされているとしたら、
日本で買って中国で売れば20万円もうかるんじゃね?となりますよね。
そうは問屋がおろしません。実際には、このようなり少なく利益を生み出せる状況は存在しません。この状況のことを裁定機会といいます。
- 一物一価の法則
上記の例のような形で金が取引されていたとすると、最終的に金は110万円でどこの国でも取引されていくことになるでしょう。これを一物一価の法則といいます。
預金額(元本+利息)にまた利息が付くシステム。
3.様々なキャッシュフロー公式
- 現在のキャッシュフローCのn期間後の将来価値
FVn=C×(1+r)^n
ここでは複利を考慮に入れています。
- n期間後のキャッシュフローCの現在価値
PV=C×1/(1+r)^n
複利の考慮は同様です。
キャッシュフロー流列と賞味現在価値を組み合わせることもできます。
この場合は、それぞれの年度を上記の計算式を用いて現在価値に直し、計算します。
- 永久債のキャッシュフロー
永久に同じ額がもらえ続けるという夢のような債権があったとしたらどうでしょうか。
永久に儲かる?いえいえ、現在価値に直したときに∞年たったお金はかなり小さくなるので、実際には有限の値に収束していくことでしょう。
具体的には、
PV=ΣC/(1+r)^n=C/r
と書くことができます。
証明は無限等比級数の和の公式に、初項C、公比1/(1+r)を代入することで求まります。
- 成長型永久債のキャッシュフロー
一定の成長率gでもらえる額が大きくなっていく永久債を考えてみます。
こちらも同様に収束します。
PV=ΣC(1+g)^n-1/(1+r)^n=C/r-g
となります。
- 年金や成長型年金
上記の永久債がN回までの有限回だったとしたら(実際はこっちですよね)こちらの士気が当てはまります。具体的には、
年金の場合
PV=ΣC/(1+r)^n=C/r(1-1/(1+r)^N)
成長型年金の場合
PV=ΣC(1+g)^n-1/(1+r)^n=C/r-g=C/r-g(1-(1+g)^N1/(1+r)^N)
となります。
年金の公式を利用すると、ローンを借りる際利子率の妥当な返済額も求めることができます。
内部収益率
キャッシュフローの賞味現在価値がゼロとなる利子率を求めると、プロジェクトが内包する各年の平均収益率が求められます。
4.利子率
- 実効年利子率(ERA)
1年後に実際に得られる利子率
- 年あたり利子率(APR)
単利計算の利子率の一年間の合計です。
1年間以内に複数回利子が付く可能性がある場合、複利計算のようにその都度足していくものになります。
2つの関係は、
1+EAR=(1+APR/k)^k
として求めることができます。
- 購買力の成長
購買力の成長=1+(実質利子率)=1+(実質利子率)/1+(インフレ率)=お金の成長/物価の成長
単純に物価が上がっただけだと購買力の成長だとは言えないので、お金の成長も伴って初めて購買力の成長だと言えます。
ちなみに、利子率が高ければ国債保有や銀行預金の方がお得なので、
企業は投資活動を控えるといった内容も絡んできます。
上記では利子率が一定のモデルで考えてきましたが、当然現実社会は一定なんてものじゃありません。そこで利用されるのが、投資機関と年利子率の関係を示したイールドカーブです。n年の利子率を掛け算で計算し、n乗根をとることによって、その時1年1年の利子率を求めます。
- 税引き後利子率
所得税などを払った後の利子率がこれになります。
r=利子率 τ=税率として、
r-(r×τ)で求めることができます。
5.資本コスト
あるプロジェクトに投資したいと考えた時に、同じような期間、リスクのものと比べて最良の収益率のものを求めます。これが資本コストです。プロジェクトの収益率がこの資本コストを上回るならば、そのプロジェクトは実行されるべきです。