経営工学徒の備忘録

~日々の大学生活や留学について~

社会心理学(2)

ステレオタイプ

ステレオタイプとは、「特定の集団に対する、固定的な信念やイメージのこと」です。

ステレオタイプの特徴

  • 社会的カテゴリーと結びつく:学歴や出身地といった、本来はただの区分分けに過ぎない情報からイメージが創出される。
  • (ある程度)共有されている:同じ文化・時代に属する人々の間で、像が共有されやすく、メディアなどを通して拡大再生産が行われる。

コーエンの実験

  1. ある女性の生活を15分間のビデオで見る。
  2. 女性について、Aグループは「ウェイトレス」、Bグループは「図書館司書」であると説明される。
  3. ビデオの中には、どちらの職業にも関係するものが出てくる。

➝自分が聞いた職業に合致する情報の方が、良く記憶されていた。

ダーリーとグロスの実験

  1. ある女の子の映像を見せる。
  2. Aグループには、「この子は中流階級の家で育った」。Bグループには、「この子は労働者階級の家で育った」と説明する。
  3. その後、テストを解いている映像を見せ、めっちゃ賢そうに見える場面とめっちゃあほそうに見える場面を両方取り入れる。
  4. 最後に、AグループとBグループ両方に女の子の学力を評価してもらう。

➝Bグループの方が女の子の学力を低く評価していた。

➝自分が持っているステレオタイプを確証する情報を、選択的に知覚している。

思考抑制のリバウンド効果

特定の思考や考え方をコントロールすることは、人間にとっては非常に難しく、抑制しようとすればするほどその思考が頭にのぼる。

ex)ステレオタイプを考えないようにしようと思えば思うほど、ステレオタイプ的な考えになってしまう。

ステレオタイプ自己実現

自らに対するステレオタイプは、実際の社会へのアウトプットにも影響を及ぼすことがある。

なぜステレオタイプが生じるのか

葛藤理論

自分が所属する集団の利益・目標達成が別の集団によって脅かされるとき

社会的学習理論

親世代、メディア、周囲の社会からの繰り返し発言・行動がなされることでそれらを当然のものとして獲得

社会的アイデンティティ理論

「自分がどのような集団に所属しているか」という社会的次元から定義することを重視しやすい。

最小条件集団パラダイム

偶発的に設定された区分でも、内集団と外集団が形成される。そして、内集団をひいきしがち。

ステレオタイプを防ぐには

  • ステレオタイプ的態度の形成ステレオタイプと真逆の情報を刷り込む➝大量の時間と訓練が必要。
  • 外集団成員との直接交流の場を増やすステレオタイプに当てはまらない人と出会う➝例外として処理してしまう。
  • 外集団・内集団を統合するより上位の集団を構成・認識する:➝それぞれ異なる社会的アイデンティティを所持している。
  • 全ての人を「個人」として認識:➝ある程度くくって考えないと処理が追い付かない。
  • 交差カテゴリー化:様々な属性が組み合わさっていると考えて、単一のステレオタイプによる影響を低減➝あくまでも妥協的。